最近「かかりつけ医」という言葉を患者の皆様もよく耳にするようになったかと思います。
「かかりつけ医」とは家族ぐるみでかかることのできる「家庭医(ホームドクター)」です。
急病や専門外の事でも親身になって相談にのってくれる診療は「かかりつけ医」ならではのものです。
「かかりつけ医」という言葉自体は以前から用いられており、病気になったとき、気軽にいつでも診もらえる「身近なお医者さん」として、今までもその機能を十分に果たしてきたように思います。しかしながら、高齢化や核家族化などによる社会構造の変化や、患者さん方の医療に対する要求の多様化、大病院志向などに伴い、以前から患者さんと「かかりつけ医」との関係が、少しずつ変わってきたように思います。厚生労働省も、最近の医療費増加の一因が、患者の皆様の大病院への集中傾向にあると考え、身近な開業医を患者の皆様の最初の窓口にすることで、医療費の抑制を図ろうと考えているようです。あるアンケートでは、かかりつけ医又はかかりつけの医療機関を決めていると答えた方は70%を超えていましたが、このことからも多くの方がすでにかかりつけの医療機関を持っておられることが分かります。「かかりつけ医」を決めた理由については、
- 1.病気のことをよく説明してくれる
- 2.家から近い
- 3.どんな病気でも幅広く診てくれる
- 4.信頼できる
- 5.設備がよいから
- 6.よく話をきいてくれる
- 7.いろいろなことを相談できる
- 8.必要なときに専門医を紹介してくれる
といった項目が上位を占めていました。患者の皆様が「かかりつけ医」に求めているのは、身近で気軽、幅広い診療をする医者であることがわかります。
それでは、「かかりつけ医」を持つと、どんな良いことがあるのでしょうか。
継続的に診察を受ける事で気軽に自分の健康相談が出来るばかりでなく、今までの病気のことや、薬のアレルギーなどに関する情報がカルテに蓄積されていますので、そのような情報をもとにした診療・治療を受ける事ができます。
継続的に診察を受ける事で気軽に自分の健康相談が出来るばかりでなく、今までの病気のことや、薬のアレルギーなどに関する情報がカルテに蓄積されていますので、そのような情報をもとにした診療・治療を受ける事ができます。
「かかりつけ医」の中には、在宅医療に熱心に取り組んでいる医師も多く、住み慣れた自宅での快適な療養生活を送っていただけるよう、努力しています。当院でも平成14年から、疾病、傷病のために通院が困難でご自宅で療養している患者の皆様を医師が定期的に訪問し、診療を行なう「訪問診療」を行なっております。また、介護保険のサービスを受けるには、「かかりつけ医」の主治医意見書も必要となります。
その他にも多くの利点があるかと思いますが、患者の皆様も気軽に相談できる顔なじみの医師だからこそのメリットを考え、プライマリーケア(総合医としての視点をもつ医師が、患者の皆様の一番近くで提供する医療サービス)と言われる現代の医療体制にあった受診をしましょう。
慈愛病院における「かかりつけ医」紹介・逆紹介制度のあり方と手順
- 慈愛病院では、文京区内の病院や診療所(かかりつけ医)との医療機関相互の機能分担・業務連携を通じて、区内における患者様への医療の向上や、より適切な地域医療の確保に努めています。すなわち、「かかりつけ医」の機能や専門性を踏まえ、お互いの役割を分担しながら協力して診療や検査を行なっています。
- 患者様には、「かかりつけ医」から当院へ紹介する制度(紹介制度)に加え、当院から「かかりつけ医」へ紹介する制度(逆紹介制度)にご協力をお願いいたします。
- 当院において入院治療や検査を行なった後の慢性期医療、在宅医療および安定期の投薬をはじめとする治療にあっては、「かかりつけ医」においてその治療を継続していただき、病状の変化や定期的な検査の時には「かかりつけ医」からの連絡等により当院へお出でいただけるようお願いすることとなります。
《かかりつけ医からの紹介》
- 患者様の病状に対して治療や検査が必要と判断された場合、「かかりつけ医」から当院に対し、患者様の病状経過や検査結果が記載された「紹介状(診療情報提供書)」を提供していただき、当院の担当医と相談しながら治療を行ないます。
- 「かかりつけ医」の紹介により、当院を受診していただくことは、患者様へのサービスの向上はもとより、当院の診療機能を効率的かつ効果的に利用することになります。
- 紹介状をお持ちの患者様は、当日、保険証を持参し当院の外来受付窓口へお越し下さい。職員が詳しくご説明、ご案内します。
《かかりつけ医への逆紹介》
- 治療や検査が終わった患者様や慢性期医療や在宅医療に移行して継続的な治療が必要な患者様には、当院の担当医の判断のもと、「かかりつけ医」へ転医していただく『逆紹介』を行い、「かかりつけ医」の先生方にきめ細かな継続治療を行っていただきます。
- 逆紹介に当たっては、「かかりつけ医」へその患者様に関する情報を可能な限り提供します。
- これは、患者様の身近なところで継続的な医療の確保、適切な医療を受けられる機会の増大、医療資源の有効利用等を図ろうとするものです。
- 患者様にとっては、不本意な場合もあるかとは存じますが、事情をご理解のうえ、ご協力下さいますようお願いします。